砂浴びできる場所はもうほとんどない。給水管から水が漏れて、雛の足が埋まってしまいそうなほど地面がブヨブヨになっているところもある。その周辺で生活せざるを得ない雛たちは、腹も足も尻も汚れている。

弱った雛は他の雛より体が汚いことが多い。歩くこともできず、糞の積もった不衛生な地面にずっとうずくまっているからだ。

足に障害のある雛は足の裏に炎症を起こしていることが多い。歩くと痛いため、できるだけ動かずに、糞だらけの地面に足をつけっぱなしにしているからだ。

メイも腹のあたりが汚れ、足の裏も少し炎症を起こしている。餌を食べるとき以外はあまり歩きたくて、汚い地面の上でじっとしていることが増えているからだ。

メイの体重はもう2kgを超えた。重い体を抱え、足の裏も痛く、しんどうそうにしている。それでもよく分からない食欲に駆られ、食べずにいられない。食べて、じっとして、それだけを繰り返す。

体重2040g

足の裏の炎症(FPD)

日本中の鶏舎でおなじように劣悪なFPDが起きている

日本におけるブロイラーのFPDの発生状況調査によると、「FPDは調査した全ての鶏群で観察され、一部の鶏群では全ての個体にFPDを認めた」など広範囲にわたり、高率にFPDが発生していると報告されています(「わが国のブロイラー鶏における趾蹠皮膚炎の発生実態に関する研究」橋本信一郎2011 )。FPDの発生要因には、床状態の悪さ、飼育密度の高さ、そして短期間で急成長させた品種改良も原因です。2020年のレポートでは、急激な成長をするブロイラー種はゆっくり成長するブロイラーよりもFPD率が高いことが分かっています(急激な成長をするブロイラーが8割程度であるのに対してゆっくり成長するブロイラーは4割程度)。ベターチキンのようなゆっくり成長する鶏であってもFPDをゼロにすることはできませんが、それでも半減させることが可能です。 https://www.hopeforanimals.org/broiler/551/

動物愛護法に違反した行為

動物の愛護及び管理に関する法律では鶏は愛護動物にあたります。今日もメイたちは、動物愛護法違反の虐待を受けている可能性があります。
・水を与えずに(飲めないとわかっていて放置する)衰弱させる行為(第44条第2項)
・餌を与えずに(食べられないとわかっていて放置する)衰弱させる行為(第44条第2項)
・怪我をした雛を治療しない行為(第44条2項)
・過密な状態で飼育する行為(第44条2項)
・弱ったり疾病を抱える雛を治療せずに衰弱させる行為(第44条2項)
・雛を餓死、衰弱死させる行為(第44条1項)
・糞尿が堆積した場所で動物を飼育する行為(第44条2項)


ただ生きるために水を飲む37日齢のメイ
鶏舎の環境は、不快さだけ
過密であることは動物愛護法の罰則に当たるはずだ

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