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48日齢 死体を見つけられない

出荷(屠殺)まであと2日。

鶏舎の中は白い海に見えるほど過密だ。毎日人が入ってきて死体を取り出す作業があるが、この頃になると死体は雛に埋もれて見つけ出すのが難しい。取り除かれなかった死体はそのままになり、生きのこった雛たちは、殺されるまで死体のそばで過ごす。

誰だって清潔な場所で過ごしたい、それはメイも同じこと。それなのに過密な鶏舎では、少しでもマシな場所へ移動することも難しく、水漏れでグズグズの地面や、糞だらけの地面の上で、死体のそばで過ごさなければならないこともある。自分の重さに息切れしながら、雛たちはただじっと我慢をするのだった。あまりに過密で、アンモニアと粉塵の混じった空気はいくら吸っても酸素がいきわたらない。足の裏や関節の皮膚炎は痛みつづけ、のしかかる自分の体重に押しつぶされる。毎日群れの中に入ってくる人の粗雑な行動に怯え、楽しいことや気晴らしになることなどただの一つもなかった。ただの一つも、だ。

そろそろメイたちがこの先どうなるか、わからない人はいないだろう。しかしメイたちは知らない。もし雛たちに運命を教えることができるなら、なんとかしてここから逃げ出そうとするだろう。自分と仲間の身を守ろうとするだろう。群れの中に人が入ってきて乱暴に雛を脚での押しのけると、その足に噛みつく雛だっているのだ。命ある限り、生きている限り雛も必死で抵抗しようとする。だが雛にできるのはそれくらい。しかももうそれほど力も残っていなかった。ブロイラーに産まれたメイは「生きたい!」と私たちに訴えかける言葉をもたないし、死を待つ鶏舎の中の命を誰もどうにもできなかった。

体重2881g

鳥インフルエンザ

これまで鳥インフルエンザで信じられないくらいの膨大な数の鶏が殺処分されています。一か所に数千数万もの動物を閉じ込め、動物が本能で欲求するすべてを遮断し、自然界から隔離して一生を過密な鶏舎の中で過ごさせるという非人道的な現代の飼育方法では発生した伝染病が蔓延しやすく、一度家畜伝染病が発生すると鶏舎ごと動物が殺されます。いま、新型コロナウィルスで大騒ぎしていますが、新型コロナ以前から鳥インフルエンザのパンデミックはずっと続いています。1950年以降、当初は数年おきだった発生が2000年以降は毎年各地で発生が報告されており、いまだに終息の気配はありません。2013年から2017年の間だけでも、高病原性鳥インフルエンザで死亡あるいは殺処分された家禽(家畜化された鳥)は117,789,579羽にのぼります。

専門家たちはずいぶん前から鳥の間のインフルエンザがヒト-ヒト間で感染することができる「新型」へ変異する可能性を危惧しています。たとえばH7N9型の鳥インフルエンザは、はじめは低病原性だったものが2016年後半に変異し高病原性となり、さらにヒト型のレセプターに結合できるよう変異しています。鳥インフルエンザは自ら抵抗できない鶏たちの精いっぱいの抵抗かもしれません。

私たちが鶏への扱いを反省するのは鳥の間のパンデミックが人の間に広がり、感染による苦痛と大勢の死を体験した時かもしれません。そしてその時にようやく、殺された数億の鳥の苦しみに目を向け、彼らへの仕打ちを謝罪するのかもしれません。

鳥インフルエンザのパンデミック https://www.hopeforanimals.org/broiler/pandemic/

動物愛護法に違反した行為

動物の愛護及び管理に関する法律では鶏は愛護動物にあたります。今日もメイたちは、動物愛護法違反の虐待を受けている可能性があります。
・死体が放置された場所で動物を飼育する行為(第44条第2項)
・水を与えずに(飲めないとわかっていて放置する)衰弱させる行為(第44条第2項)
・餌を与えずに(食べられないとわかっていて放置する)衰弱させる行為(第44条第2項)
・怪我をした雛を治療しない行為(第44条2項)
・過密な状態で飼育する行為(第44条2項)
・弱ったり疾病を抱える雛を治療せずに衰弱させる行為(第44条2項)
・雛を餓死、衰弱死させる行為(第44条1項)
・糞尿が堆積した場所で動物を飼育する行為(第44条2項)


ひっくり返って起き上がれなくなった雛、このまま死ぬ雛も多い
メイたちの足元

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