首の曲がった雛は、餌を食べることも難しそうだ。翼がポキンと折れたように無くなって出血している雛は元気がなさそうだ。生まれつきクチバシが変形している雛は、もうずっと餌をちゃんと食べられておらず、そのためとても小さく、痩せている。足の悪い雛は這うようにして移動しなくてはならず、大変そうだ。
みんな、それぞれがんばって生きているけど、自分の力ではどうすることもできない。だんだん弱って、苦しそうに目を閉じてじっと耐えるしかない。
メイの見る世界は幸せなものとは言えないだろう。体がどこも変形していなくてしっかり立って歩くことができても、幼いメイたちの好奇心を満たせるものは鶏舎の中でみつけるのは簡単ではない。外には毎日景色の変わる木々や空や自然、草や虫、移動する太陽、影、胸をワクワクさせ、生きる喜びを感じることができるものがたくさんある。メイたちは一生それを見ることはない。この電気のついた薄暗い鶏舎の中がすべてだ。
体重730g
鶏舎の照明
日本のブロイラー養鶏では約半分で照明管理が行われています。一般的なブロイラー種であるチャンキーを育種するアビアジェン社は、そのハンドブック( Ross-BroilerHandbook2018-EN.pdf )のなかで入雛-7日齢までは30-40ルクス、それ以降は5-10ルクス程度を推奨しています。
10ルクスとはテーブルの上に火のついたロウソクを立てて、そこから20センチほど離れた場所の照度くらいで、大変暗いものです。
5-10ルクスのような低い照度を設定する理由は「あまり動かさずに太らせる」、つまり低照度のほうが飼料効率が良いという考えに基づくものです。あまり動かさないことで肉への傷やあざを防ぐことができると考える人もいるかもしれません。しかしこういった考えを裏付ける科学的根拠は見当たりません。
動物愛護法に違反した行為
動物の愛護及び管理に関する法律では鶏は愛護動物にあたります。今日もメイたちは、動物愛護法違反の虐待を受けている可能性があります。従業員は故意に虐待をしているのではなく、オーナーがそのような環境を用意し、行わせているということです。
・怪我をした雛を治療しない行為(第44条2項)
・健康や安全を保持するのが難しい状態で飼育する行為(第44条2項)
・弱ったり疾病を抱える雛を治療せずに衰弱させる行為(第44条2項)
・雛を餓死、衰弱死させる行為(第44条1項)
・糞尿が堆積した場所で動物を飼育する行為(第44条2項)
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